片桐の部屋は、まだ、ハワイからの荷物であふれていた。


「洗濯しなきゃじゃないの?一緒にしておこっか?」

「じゃあ、おパンツも一緒に。」

「やだぁ。」

「ほら、これなら着れるだろ?」


トレーナーを受け取り、

「着替えはどこで?」

「待って、今、出て行くから。」

洗濯物を抱えて出て行く片桐を見送ってからも、
かなり警戒しながら、着替えを済ませる佳菜子。


そのミルク付きシャツを持って脱衣所に行くと、
片桐が洗濯物を仕分けていて、

「そこの中、Tシャツしか入ってないから、入れちゃって大丈夫だよ。」

「あ、うん。」

「…あは、ブッカブカだなぁ。」

「どんだけ背の差があると思ってるの?…洗剤ってこれ?」


佳菜子は、わざと聞こえる様に柔軟剤の蓋を開け、

「あ、柔軟剤だった。(このニオイか…)」

袖のニオイと嗅ぎ比べては、安心するのだった。


「これでヨシ!」

「ボタン一つで完了かぁ…便利だよね〜。いーなー!うちのはまだ乾燥機付きじゃないんだよね〜。」

「文明の力が働いてくれてる間、何してよっか?」

「え?」

「なんならさぁ、続き…する?」

「…」


柔軟剤の香りに酔ったのか、
着たばかりのトレーナーは、片桐の手によって、ベッド横の床に投げつけられた。