片桐は、3週間程で帰国した。


佳菜子にしてみれば、もっと長く感じられたが、

片桐からのメールには、ただ一言『明日帰る!』とだけ…

何時の何便なのかも記載せず、

「明日のメールに載せるつもりなのかな?」

そうと分かれば、佳菜子もまた、呑気に構えていた。


すると、次の日の早朝、
佳菜子の携帯電話が鳴り響き、

「…は、はい?」

「おはよう!寝てた?」

「…大地くん?」

「なんだよ!声、忘れたか?」

「あれ?今から飛行機?」

「いんや!クルマに乗るとこ。」

「…そっか…じゃあ、着くのは夜かな?」

「30分くらいだよ。」

「ふふふ。笑えない。」

「え?なんで?嬉しくないの?」

「そんな、ぬか喜び…」

「じゃあ、もっと早く着くようにするよ。」

「ん?…え?今どこ?」

「家。」

「どこの?」

「俺の。」

「え〜!!だって、明日帰るって!」

「あ、昨日の夕方着いたんだけど、さすがに疲れて…ホントは脅かすつもりだったんだけど、すっかり寝ちまって、爆睡!よーく寝たから目覚めもバッチリだから、今から行くよ。」

「え!嘘っ!ちょっ、(私にも準備ってものが…)」

「すっ飛ばして行くから!」

「ゆっくり来て!」