ここにきての、練習の厳しさに、
以前の方針を懐かしく思う者と、そうでない者との壁が見えはじめたようで…


「でもさ、せっかくお祭りなんだから、今だけは難しいことは考えないでさ!なんつーのかな…童心に帰ってっつーの?」

「そーだよ!ねー!」

「ねー!」


ついさっき、高木が同じことを言った時に否定したのも忘れ、必死に場を和ませようとする佳菜子達に、

「だから今日は、良い気分転換になると思ってたんだ。」

と言って、微笑んでみせる望月。


「大変だね、あんた。」

そんな望月にゆっこが言うと、

「ホントだよ。突然のスター選手の出現に…今まで持ったことない、希望みたいなのを、夢に見てみたりして…」

「ばっ…かじゃねーの。そんな、夢見心でやってたらケガすんぞ!んなもん、どこでやってたって同じだろ…やる時は真剣にやるし!…はっきり言って“こんな無名校でもゴールくらいはあるだろう”って、そんな気持ちでココに来たんだ。だから俺、皆には感謝してる。だからクヨクヨなんかしてないで、バスケを楽しんでほしいんだ!欠けてるところは俺がフォローするし!」

「高木…」


この時、高木が部員に気を遣い、オチャラケて見せていた理由が分かった気がした佳菜子だった。


そして望月は、

「あんな風に思ってたなんて…俺、マジ頑張って、このチームまとめなきゃなぁ!」

屋台でたこ焼きを買っている高木を見つめ、佳菜子とゆっこに宣言をした。