「可哀相……。」
そう思った私は男の子をジッと見つめた。

何か、違和感を感じた。
何か、変だ。

「嘘でしょ……!?」
男の子には傷一つついておらず、
服すら破けていない。

まだ助かるかもしれない、私はそう思い
男の子の体を揺すった。

「ねぇっ!ねぇっ!
おきて!生きて!!」
私は何度も何度も……。
声が枯れるまで、叫んだ。

―午前7時
ケータイのアラームが鳴る。

「…………ん?」
男の子が声を出した。
私は嬉しくて、涙を流した。
「よ、かったぁ~~……」

男の子は布団から朝起きる様に起きだした。
伸びをして、目を擦る。
そして、綺麗な顔が私を見る。

「何で起こしたの?」
ゆっくりと目を開け言った。

「へ?、だっ、だって……」
私は涙を拭いながら、指をさした。
そう、死体の山を。

「で?」
男の子はクリっとした目で私を今度は睨んだ。
その態度に私は怒りを覚えた。

「で?じゃないでしょ!!
アンタこの状況でよくそんな事言えるわね!!」
私は怒りと、恐怖で震える手を握り締めた。

「?
それより、ん。」
男の子は私を気にせず外を指差した。
私はゆっくりと腰をあげ、窓から外をみた。

「嘘だ……。」
そうとしか言えなかった。