また大袈裟に肩をびくつかせた。
追い詰められた小動物のような目で僕を見上げる。

そこで僕は初めて、この頭の足りなそうな女が、えらい美人だということに気が付いた。




「待って」





引き止めてしまった。


声をかけなければ、死に場所を探しに行く女を、僕は自分の手で引き止めてしまった。