「あ、あのさー、バスケやってんでしょ?」
「うん」
「何番?」
まぁ、話すことと言ったら、バスケの話しか思いつかない。
「4番だよ」
4番と答えた男子は、自信ありそうに言った。
「4番なんだーへぇー…………ってえぇ!?」
4番ってエースナンバーじゃん!
だって、この人高1だよね?
「うん、すごいっしょ」
表情は見えないけど、声のトーンで笑ってるのがわかる。
高1で4番ってことはすごく強いってこと。
しかも、すっごい努力したんだなー。
バスケやってりゃこれぐらいわかる。
「すごいね!今日も部活だった?」
「うん」
「どんな練習したの?」
「シャトルランやって、シュート練して、すぐゲームやったよ」
「えー!シャトルランどこまでいくの?」
だんだんと話しにのってくる自分を感じながら、
お、男子苦手なの治ったかな?とか思った。
「その日によるけど、180を3本やった」
うわぁぁぁ!!!
シャトルラン3本……。それだけでもすごいのに、180を3本……。
すごいなぁ。
「……疲れるでしょ?」
「そりゃーね!疲れない日はないさ!」
「だよねー!あははっ」
思わず笑った。なんでだか、わからないけど。
「え……、なんで笑うの?」
いきなり笑いだしたあたしに、戸惑いながら、
でもホッとしたように言う。
「あははっ今日もお疲れー!」
「う、うん」
あたしは、わけのわからない笑いを抑えられなくて、
ハイテンションになった。
そして4番くんも、あたしにつられて笑い出した。
「あははっ」
「ははっ」
ガチャガチャ食器の重なる音と、
おいしそうな匂いの立ちこめる住宅街で、
あたしたちは笑いあった。