「ねー!聞いてよー!」
学校に着くと、真っ先に友達ところへ駆け寄る。
「おー!夏津!おはよー!」
ニッコリ笑うやつ、ガッツリ笑うやつ。いろいろいる。もちろんみんな女だけどね。
「聞いてよ、千秋!!今日男子と話しちゃったー!」
その中の、がっつり笑う派の人に、
「まじで!」
柚原千秋という名の友達がいる。もちろん女。
千秋はあたしが男子苦手なの知ってるから、あたしが男子と話せたりすると、一緒に喜んでくれる。
前までは、同じ空間に男がいるなんて考えられなかった。
「えー、かっこいいのー?」
にっこり笑う派の、川村由香。
こいつも、あたしの男子が苦手なこと知ってる。
「うーん、普通にかっこいいよ」
あの、自転車男の顔を浮かべてみる。
よく覚えてないけど、かっこいよね。
「ていうか、なんで男子と話さなきゃいけない環境に陥ってたのよ」
千秋は、ずぃっとあたしを見下ろしながら言った。
「え、いやーそれがさー……」
あたしは、今日の朝のできごとを話した。