「……年は?」


前に座ってる男子がポツリとつぶやいた。


「16」


「あ、一緒じゃん」


「…………」


なんとなく、気まずい。

なんであたしのこと乗せてくれたか聞きたいけど、聞けない。

だって男子苦手だし。

男とかほんと無理だし。
あ、でもそんな無理なんじゃなくて、一緒の空間にいるのが、耐え難いって感じ。


「……部活は?」


「バスケ」


「おー、一緒じゃん」


2回目の一緒は、なんだかうれしそうだった。

てゆーか、男と同じ空間にいるのが耐え難いとか言ってたくせに、なんで後ろ乗せてもらってんだろ。

矛盾してる……。


「あ、あたしの学校二人乗りばれたらやばいから、

 そこの駐車場のとこでいいよ」

頑張って話しかけてみた。
すると、男子は嬉しそうに言った。


「おー!しゃべった!うんうん、おっけぃ!」


音符マークでもつけそうな勢いで言った。

あたしがしゃべったくらいで……
おおげさなやつ。


「あ、ここ?」


キキーッと鈍い音を立てて自転車は止まった。

あたしは、バッグを肩にかけて、ペコリとお辞儀をした。


「ありがとう」


の、割にはタメ語で。


「うん!」


そして男子は、自転車を動かそうとして、止まった。


「あ、あのさー、帰り何時?」


ちょっとテレ気味に、振り返りながら男子は言った。


え、帰りの時間なんて聞いてどうするの?

でも聞かれたし、答えなきゃだめだよね。
聞かれたことに答えるのは礼儀だよね!!


「7時」


「そっかー……」


あたしの答えを聞くと、自転車が動き出した。

そして、去り際に言ったのだ。


「7時にここで待ってるからー!!

 また乗せてやるー!!」


男子は、そう手を振ると、角を曲がって見えなくなった。

乗せてやるって、なんだ。
一応断ったし、言うなら、乗ってね!じゃない?




……なんだったんだ。

よくわかんねーやつ。