「ねぇ!!」


だれかに呼び止められた。

ぴたっと静止したあたしは、振り返ることなく立ち止まった。


「あのさぁ!チャリパンクしたんでしょ?


 よかったら、俺の後ろ乗ってく?」


……え。
驚いて、声の主を振り返る。


「……え、それは……悪いですよ」

「でも、困ってるんでしょ?後ろ空いてるし」


親指で後ろを指した。

確かに困ってるけど、そんなの悪いじゃん。
……それに、無理だし。


「あなたが学校遅れちゃいますよ?」

「いーの!俺は登校時間自由だから!」


にっかりと笑うと、あたしに近づいてきた。

え……どうしよう。
サッと時間を見る。……8時5分。
間に合う、この時間ならぎりぎり間に合う。


「えーと、じゃあ、乗せてください」


この際だし、乗せてもらっちゃえ!!
男だなんて関係ない!!