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桜がヒラヒラと舞う、中1の春。
『お隣に引っ越してきた永谷です。これからよろしくお願いしますね~』
ふんわりと優しい笑みを浮かべるお母さんの隣で、海斗はずっと違う方向を見ていた。
いつまでたっても喋らないし、目線だって合わせてくれない…
『海斗、ちゃんとご挨拶しなさい』
『……』
お母さんが何度言ってもきかなくて
あたしはつい…
『海斗くん、あたしは鳴川未愛ってゆーの!よろしくね』
この日のために何度も鏡で練習した、どびきりの笑顔を向けた。
すると…
『ばっかじゃねぇの?』
『へっ??』
視線が重なる。
吸い込まれるみたいに…
『俺は海斗、よろしく』
海斗が見せた笑顔に、あたしは一瞬で虜になった。
もっと、海斗くんを知りたいな。
これが、海斗との出会い――…
初めて交わした言葉。