「何度言ったらわかるの?ごはんはこぼさないで食べなさい。ほら、よそ見しない!」


「…う。…う。うぇーん」



「あー、もう!わかったから、泣くんなら食べなくていいです。保育園でおやつでももらいなさい!」


毎日、こんなやり取りをしながら息子を保育園へ送り届ける。朝はどうしても叱ってしまう。



ファンデと口紅。3分メイクをちゃちゃっと施し、髪を1本に引っ詰め、自転車を競輪選手並に漕ぐ。



息子と別れた後、私は仕事場に向かう。従業員4人の小さなレストランだ。

オーナーの相田武。フロアの結城真理と高畠太一。私はキッチンで簡単なフードを作っていた。清潔であれば良しとし、自分の身なりを気にしなくなっていた。