結麻と過ごす時間は、俺にとって一分一秒が大切で特別だった。一緒に色々な場所へ出かけたり、ピアノを弾いたり、ただ側にいるだけで十分満たされていた。温泉へ行った時は「Parting tears」という曲を聴きながら一緒に歌ったこともあった。この歌は別れの歌だけれど俺達はこうならないようにしよう、という意味を込めて歌い、一番好きな曲でもあったのに――。今でもこの曲を聴く度に、結麻と過ごした日々が鮮明に浮かぶ。

 ♪ I was not able to believe in Though I loved it that much ♪

 温泉といえば、俺の嫉妬心から結麻を怪我させたことが一番思い出すし胸が痛む。いくら混浴とは云え、結麻の裸を他の誰かに見られるのはどうしても嫌で、本当なら俺しか見れない部屋に閉じ込めておきたくなるくらい、結麻を他の男の目に触れさせるのが嫌で嫌で仕方がなかった。それは結麻を愛しすぎる故に……。彼女を愛すれば愛するほどに、俺の独占欲は激しさを増していたのかもしれない。

 そんな愛し方をする俺に、結麻は優しかった。