引っ張られて、走って、着いた場所は屋上の日陰の場所。


「ここ……」

「ん?」

優しい顔で尋ねられる。

「あたしのお気に入りの場所」

「そう☆俺もお気に入りの場所だからさ」
なんて、ふんわり優しく笑って言う。

トキン…トキン…。

胸の鼓動がリズムよく高鳴り出す。

唯人くんはジャムパンの袋を開けて頬張っていた。

「昼飯、食べよーぜ?」

「うん!」

お弁当ぢゃなくて売店で買ったパンなんだ。

しかも二つだけ。

足りるのかな?

「あっ!ナポリタン入ってる!」

あたしのお弁当箱の中を見て目を輝き出す。

「好きなの?ナポリタン」

「むっちゃ好き♪」

「ぢゃああげるよっ」

「まぢで?ありがとうっ♪」

すっごく機嫌よくなった。

本当にナポリタン好きなんだねー。

なんだか可愛く思えて笑えた。

「なした?」

「…ううん…っ!なんでもない…っ」

笑いをこらえて話すと不思議そうな顔して見てくる。

「変なヤツ(笑)」

しまいには唯人くんも笑い出してしまった。

「なんで今日お昼誘ってくれたの?」

無意識にそう聞いてた。

するとさっきまで笑っていた唯人くんはいきなり真剣な顔つきになった。

なんかヤバいことでも言っちゃったかな?

でもやっぱり不思議で。

「…………かったから」

いきなり話していてよく聞き取れなかった。

「もう一回言って」

「…っだからっ!紅香を守りたかったから!」

「………へ?」


思ってもいない返答に思わず驚く。

だって、今…。

守りたかったって言ったよね…?

聞き間違いぢゃないよね?