別に俺は銀髪が好きなわけではない。
“カイ”の趣味だから。


「茶髪にしよっかなー」
俺がそう呟くと。

「ダメっ!」
眉間に皺を寄せてサヤカは叫んだ。

「銀髪はカイの…」


「…あー」


そうか。
カイは“銀狼”だもんな。

銀髪止めたらほんとにカイは居なくなるってか?


「嘘。染めたりしねーから安心しろ」
笑ってこれだけ言うのが精一杯。


俺自身を否定されたかのような。
そんな気分にさえなってしまう。


…あ、そうか。
こんなにムカつくのは。
俺、カイに嫉妬してんだな。


俺、サヤカが好きみたいだ。