ふいに入ってきた女を見て、

何故か俺は周囲の雑音全てが
止まった気がした。


腰までのびた艶のある綺麗な黒髪。

長いまつげ、小さい鼻、
桃色のふっくらした唇。


…っ…

「せんせぇ~?」

隣にいる派手な女子生徒の声で、

意識が正常に戻った。


だけど頭も瞳もその生徒から
背けられずに。


「失礼しますっ
あの、小山先生って居ますか?」

優しいその声の主は、
扉の前にいるその黒髪の少女。