そんな顔をされる意味がわかんないと思ったあたしは「だって知んねーんだもん、しょーがなくね?」と開き直ってやった。
開き直ったあたしを見て、ため息をつきながら川村くんの話をし始めた西田。
「川村はまだ一年なのにバスケ部エースで、顔も良い、性格も良いでモテモテだって有名なんだよ。まさか知らない奴いると思わなかった」
「へー…すごいね、その人」
「おー、すげーんだよ。んで、そのすげー奴がお前と仲良くなりてーんだと」
「…は?」
またもや意外すぎる西田の言葉に絶句した。
なんであたし?
つーかなんであたしのこと知ってんの?
あたしは知んなかったのに!
次々と出てくる疑問に頭を捻って考えたけど、答えは出ず、ここは素直に「何で?」と聞いてみた。
それなのに西田の答えは「知らねーよ」と期待を裏切る内容で、もうなんて言っていいのかわかんなかった。
しばらく沈黙が続いたが、その沈黙を破ったのは西田だった。
「お前、彼氏はいねーよな」
「彼氏はいない」
「んじゃ会ってみろよ」
「んー…」
「それとも何?好きな奴いんの?」
「…まぁ」
「えっ!?いんの!?」
西田は自分で聞いたくせに、いるとは思わなかったらしく、必要以上に驚いてみせる。
「んだからいるって…」
「え!?誰!?悠斗!?」
「…はぁ?」
何でここで悠斗が出てくんだかわかんない。
確かに悠斗はモテるし、イケメンだし、性格だって申し分ないくらいいい。
だけどあたしにとって悠斗は、友達以外何ものでもない。
きっと悠斗だって同じはず。
「えっ!?ちげーの!?んじゃ誰っ!?」
興奮状態で聞いてくる西田は、マジでめんどくさい。
「もー…お前うっさい」
「いいじゃん!教えろよ!」
うるさいって言ってんのに、それでもしつこく聞いてくる奴は、しまいには「俺とお前の仲だろ!」と意味のわからないことを言い出した。
どんな仲だよ!
全力で否定したい気持ちに駆られたが、ツッコむのも面倒になり、フルシカトで通した。