「お前、好きな奴いんの?」
「え!?なんで!?」
西田の予想外過ぎる言葉に、動揺して、椅子から落ちそうになる。そして落ちる!って思った瞬間、西田に腕を引っ張ってもらって、恥ずかしい思いをしなくて済んだ。
「っぶね!焦りすぎじゃね?落ち着けよ!」
お前のせいだよ!と思ったが、助けてもらった手前、そんなことを言う訳にもいかないあたしは、しぶしぶお礼の言葉を口にする。
落ち着きを取り戻したあたしは、「つーかいきなり何だよ…」と尋ねる。
「1組の川村知ってるべ?」
「え…知らない。誰それ?」
そう言った瞬間、今まで黒板の方を向きながら喋ってた西田が勢いよくこっちを向いてきた。
何をそんなにびっくりしたのか、本気で驚いた顔をして、「マジで言ってんの?」と言い、信じらんねぇと続けた。
「は?」
「お前川村と言ったら悠斗の次に人気じゃん!」
「あー、そうなん?」
「そうなん?ってお前…」
そう言った西田の表情は、あんまり思わしくない。