「席、交換してくんね?」


なっ…!
そんなことしたら隣になっちゃう!


嬉しいけど、さっきの事がある手前、素直に喜べないあたし。


「あっわかった。塚本くんかっちゃんの隣だったよね?」

「うん」


待て!夏季!カムバック!


そんなあたしの願いも虚しく消え去り、陽輝はあたしを見て、素敵な笑顔で微笑んだ。


やっば!!
ずっきゅんしたよ!
かっこよすぎだろ!


ひとり悶えていると


「優歩」

陽輝が優しく話しかけてきた。


「な…何?」

「優歩って歌うまいね。俺びっくりした」


そっ…そっちかっ…!


何を言われるんだろうと身構えていたあたしは、その言葉で一気に緊張の糸が解れた…が!


「ノリノリだったけど」


余計な一言まで付け加えられ、とりあえず苦笑いでお礼しといた。


「そーそー!優歩って歌うまいよねー!声もいーし!」

「紗耶のがうまいじゃん」

「そんなことないし」

ふたりで褒め合い、照れてると、突然流れた聞き慣れた曲にあたしと紗耶は固まった。


「「この歌誰入れた!?」」


そしてぴったりハモった。


「あっ俺!カラオケ来ると必ず陽輝と歌うんだよね。優歩らも好きなん?」

「「大好き!!」」

「ははっ。マジかー」


またもやハモったあたし達に悠斗は軽く笑った。