「まあ昼休みくらいは有意義に過ごしなよ」

「そーだねー」


紗耶に励まされ、昼休みのうちに休んどこーって思った矢先の出来事だった。


ピンポンパンポン


『生徒の呼び出しー。1年3組の日直小波優歩ー。今すぐ俺んとこに職員室まで来い』


………こんのクソ担任が!!


「いってらっしゃーい」


笑顔で手を振る紗耶を見て、ため息をつきながら職員室に向かった。


「失礼しますー」

「おー来たか」

「来たかじゃないです。あたしまだお昼食ってないです。お腹減りました」

「あっそう」


必死に訴えるあたしを軽く交わして、先生はとんでもないことを言った。


「このダンボール数学準備室まで運んどけ」


………は?
え?ちょっ…ちょっと待って?
このでかいダンボールを?
あたしひとりで?


「…………ちょっ無理!!」

「無理じゃねぇ」

「ありえねー!!!!しかも数学準備室3階なんですけど!ここ1階なんですけど!」

「あ?やだじゃねぇよな?もちろんやるよな?」


そう言った先生の笑顔に黒いものが見え、凄まじく恐ろしくて思わず頷いてしまった。


「よし。んじゃ早くしねーと飯食えねーから早く行け」


きっと周りから見ればあまりに悲惨な表情をしてるだろうあたしは、力なく「失礼しました」と呟いて職員室を出た。「失礼されちゃいました〜。がんばれよ〜」というあたしの背中から聞こえてくる対称的な声に心底うんざりした。