「なんで?」
「いやぁゲームのポイント無くなったから登録してくれる人探しててさぁ」
ショックだった
また
「声が聞きたくなった」
とか言ってくるのだと思い、今度こそは正直になろうなんて甘いドラマ的演出を考えていたのに
あまりのショックで
「もう登録しちゃってるから無理だね」
とあからさまに嫌みっぽくそう言い電話を切った
私の理想を掲げた建築系のゴリマッチョな王子様は消えていった
そう感じた数日後の夜10時頃にまた電話がきた
「何?」
「いや、何?って聞かれたら特に用はないけどなんとなくな」
「ふーん」
「今何してるん?」
「散歩かな」
「こんな時間に?」
「そうだけど」
「気つけて帰れよ?」
このぶっきらぼうな言い方に優しい言葉をそえられるのに私は弱いらしい
「うん、大丈夫」
私は実態のわからない相手に小さな恋をしているらしい
まだちゃんとした性格も身長も体型も実際に感じる声や顔もわからないけれど
気持ちだけが向いてしまっていた