この日、私は陵から
とんでもないことを聞いた。
『葵ー!!』
『なに?』
『ちょっと大変なんだって!!』
稜が慌てている。
私なんかしたっけ…?
『あのね、落ち着いて聞いてね…』
『う…うん』
次第に陵の表情が曇る。
『由美が…
田口に告ったみたい』
『え…』
もはや何を言っているのか
理解できないくらい
私は驚いていた。
そのせいで涙さえ出なかった。
『あ…葵?』
『…っあ!!ごめん…。』
『なんかね、うちも今由美から聞いたんだけど、
由美のお兄ちゃんの彼女の中村先輩に
頼んで手紙渡してもらったんだって』
『…そ…そうなんだ…』
私はうつむく。
『葵!!このままでいいの?』
『えっ?』
『まだ、今からでも遅くないんじゃない?
うち的には、田口は葵が好きだと思うよ?』
『な、何で?』
『だってー、葵の方ばっか見てるし…
接し方が特別というか…なんというか…。
賭けてみる価値はあるんじゃない?』