「祐!!」
病院につき,菜子は叫んだ。
あたしは叫んでいない。
…だって,こんな光景を見たら…,声にできないよ。
祐は体中に包帯が巻かれていて,骨折したのか足はつるされていた。
顔がガーゼと包帯であまり見えない。
「…祐……」
やっと声がでた。
近くに寄り,手を握る。
冷たい……!
「あの,看護婦さん。祐…生きてるんですか?」
看護婦は優しい口調でゆっくり答えた。
「あぁ…今のところはね。でも,とても危険な状態だよ。山場は今日の夜中…,つまり,今…生死の分かれ目。」
「そんな…!!」
あたしはまた涙を流した。
祐…祐……!!
生きて帰ってきてよ…!
「祐!!」
ドアが開き,祐の親がきた。
眉間にシワを寄せ,振るえあがっていた。
…皆で涙を流した。