−あたしは、走って教室に入った。

「……あんな言わなくていいじゃん。」

−初めて会ったときと似た、冷たい目であたしは背中が寒くなった…。

……関係ない、か。

「…はぁっ!理央。」


「……由佳。」


「理央…奏斗くん、探してたよ?」

−由佳は、心配そうにあたしを見て言った。

…知らないよ……。

「……知らないし。ごめん…あたし、屋上行くね?」

「…理央…。」

−あたしは、歩きながら由佳の言葉を考えていた。

『…奏斗くん、探してたよ?』

−…何で…。

「……関係ないって言ったくせに。」

−よく分からなかった。

ケンカの時のあの目がホントなのか、子どもみたいに笑うのがホントなのか…。

あたしには分からなくて、逃げていた。

屋上について、扉を開くと…あったかい風があたしの髪や体に吹いた。