−あたしは、自分の席で肘をついて考えてた。

「…どうしよ。」

−あいつを1人にするのはやだ。でも…

「アハハッ!」

−ずっと友達だった、由佳を失うのも怖い。
分かんない。

「…探しに行こ。」

−そう思って、立ち上がると呼ばれた。

……ん?
−1人の先輩はあたしを見て言った。

『初めまして。奏斗の姉の咲菜です。』

「…お姉さん!!?」

−いたんだ。
でも、よく見れば目元とか似てる。

『なるほど…奏斗が惚れた女の子かぁ。』

「え…?」

『奏斗は今まで、女の子の話をするってなかった。でも。』

「…でも?」

−あたしを優しく見て、咲菜さんは言った。

『あなたのことを話すときの奏斗は…幸せそうに見える。』

「……。」

『きっと、あなたを他の人より大切だと思ってる。だから、少しでも奏斗を見てほしい。』

−お姉さんは、あたしを見て言った。

「あたし、奏斗を好きになってるって思います。」

『奏斗を?』

「でも、それを伝えることができない。」

『大丈夫。ね、奏斗?』

「え…?」

−咲菜は、笑顔であたしの後ろを指さした。

奏斗があたしを見ていた。