「いえ、好きです。結婚するまでは、保母をやっておりました」

それなら、好都合じゃん。
 
類はつい、顔を輝かせた。

「それなら問題ないじゃん。奥さんと一緒に、ここの家族と関わったらいいんだよ。そうすれば、奥さんだって、浮気の疑いを抱くこともなくなるし」

「そう、ですね」

「暇だから、疑念の固まりになるんだよ。奥さん、あなたと離婚して、宝石デザイナーになって一稼ぎするんだって言ってましたよ。いい夢ですけど、現実性があるのかどうかは疑わしいです。そんな冒険をさせるよりも、甥っ子や姪っ子の面倒をみる仕事をあげたほうがずっと現実的だし、楽しいハズです。子供達にも、大好きなおじさんに加えて、大好きなおばさんが増えるんですよ。それも、気前のいい、ね?」

 田口氏は、驚いたように類を見た。

「そうです。彼女は気前がいいです。きっと、彼女なら、甥っ子や姪っ子にいろんなことをしてやると思います」