「ですが、義妹さんのほうは、あなたのことを完全にお兄さんだと思っていますね。彼女の最愛の人はあの子供達です。彼女はその他の人間には一生目もくれないタイプでしょう。あなたにも、気付きません。気付いたとしても、気付かないフリをするでしょう。あなたは大事なお子さん達の、大事なおじさんですからね。あなたの想いは報われることはありません」
 
じっと黙って聞いていた田口氏が、声を抑えて、割って入った。

「報われるとは思っていません。わたしはただ、みんなの傍にいたいだけだ」

「彼女の、傍に、でしょ?」
 
つい、類は言った。
 
田口氏は、類の言葉が効いたらしく、しおれてしまった。

「そう、だったかもしれません」

「これからは奥様と一緒に、こちらに遊びにくるようにしたらどうでしょう?奥様なら、会社を休まなくても子供達の面倒を見に来ることが出来る。奥様は子供はお嫌いですか?」