こちらの様子が気になって仕方がない子供達が、ふすまを半分開けてこちらを覗いていたからだ。
 
類も立ち上がった。

「それでは失礼します」

師匠の変わりにペコリと頭を下げて、師匠に続いて外に出た。
 
田口氏も、後からついて、外に出てきた。

「影山さん、妻に疑われていること、教えていただいて、本当にありがとうございました」
 
師匠は、振り返ると、ドアが閉まっていることを目で確かめて、

「あなたは甥っ子や姪っ子をかわいく思っているが、それ以上に、義妹さんに惚れているんじゃないですか?」
 
田口氏はハッとしたように師匠を見た。
 
類までが驚いて師匠を見た。
 
田口氏が、彼女に惚れているだろうことは類にも容易に見て取れたのだが、まさかこのくそボーッとした師匠に、それが分かるとは思ってもみなかったのだ。