「こうみえても、あたくし宝石のデザイナー志望なんですの」
 
脂肪?
 
類は、体の前で組まれた田口の、むっちりとした指を見た。
 
右手に二つ、左手には三つ、でっかい宝石のついた指輪をしていた。
 
旦那さんへのあてつけなのか、左手の薬指には指輪がない。

「今、学校に通っていることろなんです。主人の浮気がわかったら、慰謝料をふんだくって離婚して、あたくしは、プロのデザイナーとしてバリバリ働くつもりですわ」

「今はお仕事はされてるんですか?」

「いいえ。結婚するときに会社を辞めて以来、働いてなんかいませんわ」
 
そうして安穏と裕福な主婦業をやっていられるのは、旦那さんのお陰だってことを、気付かないかな。
 
類は思った。