それが何のコスプレなのか、類には一目で分かったが、突っ込まないことにした。

「浮気調査なんだって。奥さんやつれちゃって、かわいそうなんだよ」
　
その、ボクちゃん言葉やめんかい。
　
ムカムカしつつ、依頼者を見た。
　
確かにさっきは蒼白い顔をしていたが、今は血色もよく、体格もかなりいいほうなので、やつれてかわいそうにはとても見えなかった。

「そうなんです。主人の素行を調べていただきたいんです。できれば浮気の証拠を掴んで欲しいのです」

「ご主人が浮気されているという確証はおありなんですか？」

「ええ。毎日帰りが遅いですし、出張と言って出かけながら、実は会社を休んでいたり。先ず、間違いはないです」

「そうですか。で、証拠を見つけたらどうされるんですか？」

　田口婦人は急に胸をそらせた。

　派手なオレンジ色のジャケットの下の、豹柄がはじけそうになった。