「…だめー」

紫雲は私の手を抑え、スプーンを離した。

「あぁー……」

「…もー…病人は言うこと聞くー」

…仕方ない。

今日デート中止になったのも私の体調管理のミスだし、紫雲がわざわざ看病してくれるんだから、今日は…今日だけは、甘えさせてもらおう。

「じゃー紫雲、あーん」

早く食べ終わりたいため、私は紫雲に食べさせてもらおうとせがんだ。

「…っ、レッドカードォオオオッ!!」

ビクゥッ

なっ何?!

私は食べたいだけなのに、紫雲は『レッドカード』という言葉を叫んだ。

意味がわからないっ…

「しっ紫雲?」

私は紫雲を恐る恐る見つめると、

「こ…こっちの話だから、気にしないで…//」

はっとして、恥ずかしそうに俯きながらスプーンを加えさせてくれた。

なんと器用な技なんだ…

ていうか、奇声の理由が知りたい…
まぁ、深くは聞かれたくないのかな?
残念だけど、疑問は心に留めておこう。