ビュウッと吹く風に、ぶるっと身体が震えた。

外は何週間も先のバレンタインの準備をしている。

早いもので、もう1年が経とうとしている。
ほんと、退屈なときってなかったなぁ…

クスッと笑いが込み上げる。

私が思い出し笑いをしていると、私のお腹に、コツンと何かが当たった。

ん?

下を見ると、髪が金髪でふわふわパーマの小さな女の子がいた。

「…全く…誰ですか?このわたくしにぶつかる不届き者は」

丁寧な言葉を使い、私を注意しながら、その子は上を向いた。

うわ…人形みたい。
すごく可愛い。

その子は、頭の左側にリボンを付けて、クマのぬいぐるみを大事に抱きながら、深緑の瞳をこちらに向けて口をへの字にした。