コツン…コツン…と、2つの靴の違った音が重なる。

夜の道はとても寒く、やっぱり冬だなぁということを感じさせた。

私からは、一言も喋らない。
最初は、星からだと思ったから。
そうじゃないと、何かが壊れる気がした。

「……話、長いよ」

やっと一言口にした星は、鼻を赤くして、目も少し潤んでいる。

「…大丈夫。全部聞くよ」

「……ん。俺の親は、海が4歳の頃に離婚した。原因は親父。急性アルコール中毒になって、家族の俺達にも手に負えなくなった。でも、それでも母さんは別れなかった。きっと…こんな親父になっても…って思うところがあったんだ。でも陰で海や俺に暴力をふるっていることが母さんにバレて、結局離婚することになった」