「おぉ…すげぇな」
寅志さんは持っていた煙草を消して、巳子ちゃんが作ったケーキを見つめる。
「昴、寮まで送る」
「へ?」
辰志がそう言った。
「いやいや、別に大丈夫だよ」
「いや、だめだ。送る」
「えー…いや、志紗さんも帰ってくるだろうし…今日は辰志、家に居るんでしょ?」
「あぁ、家に居る。明日の朝戻るから。あと、おばさんのことは気にするな。むしろ送らないと殺される」
「んー…」
無意識に寅志さんのほうを見てしまう私。
「送らせてやってくれー(笑)」
目付きの悪い瞳を少しニヤけさせて、寅志さんはまた煙草を手にとった。
「…はい。では…お邪魔しました」
「おーう。またこいよー」
「昴さんっ待ってます!!」
2人の言葉に、私はにこりと笑い、辰志とともに家を出た。
そして、ひっそり神田に迎えのメールをしておいた。