辰志Side
「…楽しそーだな。巳子」
「あぁ…寅志か」
階段に潜んでいた俺の肩に腕を置いて、煙草を吸っている寅志。
その顔は、すげぇ嬉しそうだ。
「巳子ってば、変にお母さんぶるかんなー(笑)」
「…そうだな。あれで14とは思えねーな」
巳子は小さい頃から、家事とかばっかりやってきた。
まるで母親みたいに。
タメと遊びたいときもあるはずなのに、自分を押し殺してまで俺達に尽くしてくれてる。
だから…たまには、コイツにも子供らしいことさせてやりたい。
っつーか、ケーキ作りが子供らしいことかって言えば違うけど、巳子にとって姉ちゃんみたいな存在が、昴で、今1番頼りたい相手かな…って思った。
俺は巳子と笑っている昴を見て、
「昴も…楽しそうだな…」
小さく口元を緩ませ、呟いた。
「ははっ…そーだな…」
俺の言葉に、寅志は何かをかんづいているかのように、意味深に言葉を濁した。
End