「ぶ、かつは今日はどうだった?」

「うん、いつも通りだけど、なんか気が散っちゃって、集中できなかった。
前田は山下と帰ったんだろ?」

「うん。そういえば、帰りに村上君を見たよ。」

「一也がどうかした?」

「うん…、なんか中学生?みたいな二人組に怒鳴ってるみたいだった…。」


「そっか。」

「うん、村上君ってちょっとこわいよね…?」

「そうだなぁ。
口より手が出るとこはあるな。
あいつは喋るの得意じゃないんだよ。」


その後は村上の話題からそれ、クラスの話や学校の帰りに寄りたい店の話なんかをした。
達志との電話を切って、しばらくぼーっとした。

結構普通に会話できるようになったなぁ、とか思いながら。

まだ達志のこと、何にも知らないけど…。

これからいっぱい知っていけるよね。


そんなことを考えていると、またケータイが鳴った。


誰だろう?
遼だ。

どうしよう…。
この間の返事、とか…言われるよね?

どうしよう…。


困っているうちに切れた。


少しほっとしていると、今度はメールだ。

もちろん遼からだ。


『ゆい、今なにしてる?俺はゆいのこと考えてた。会いたい。ゆいの顔がみたい』
心臓がバクバクした。


どうしたらいいんだろう…。

今更彼氏ができた、なんて…。

それに、こんな風にメールされて、どうやって断ったらいいんだろう…。


返信できない。


今日はもう寝て、明日返そう。


わたしはケータイを閉じてしまった。
その夜、電話がかかってきた。

わたしは寝ぼけ眼で誰かも確認せず電話を取った。


「・・・もしもし。」

「唯。寝てた?」

「うん・・・。」

「ごめんな、起こして。どうしても声聞きたくて。」

「うん・・・?」

「唯、こないだの話、考えてくれた?」
サッと目が覚める。

遼だ。


「遼くん…、わたし、ダメだよ。ゴメン。」


「なんでダメなの?」


理由。


どうしよう。


もう隠せない…。
「わたし、彼氏が出来ちゃったんだ。本当にゴメン…。」

「いいよ、そんなの。」

「え…?」

「そんなこと、関係ない。唯は俺のこと嫌い?」

「嫌いじゃ、ないけど…。」

「じゃ好き?」

「…そ、そんなこと言われても…。」

「俺は、唯が好きだよ。また連絡するね。」


遼は一方的に電話を切ってしまった。

わたしは断りたかったのだけど、うまくいかなかったみたいだ。


頭が混乱する。

これからどうするべきなんだろう。

達志に言ったほうがいいのかな。