「俺と、付き合ってくれない?」
同じクラスの達志が、照れ臭そうに言った。
わたしはびっくりして、返事に困ったし、きっと顔は真っ赤だったけど、震えるような小さな声で、「うん」と頷いた…
15歳。
高校生になったばかり。
はじめての彼氏。
達志は、すごくうれしそうに笑った。
わたしはこんなにうれしそうな彼をみたことがなかったので、すごくうれしかった。
教室に戻ると、理美が待っていた!という表情で飛びついてきた。
「達志くん、何だったの!?」
わたしは周りを気にしながら、小声で答える。
「あの…、わたしと付き合いたいって。」
「やっぱり!
それで、付き合うの?」
「う、うん…。」
顔がみるみる赤くなる。
「キャー!良かったね!!」
「ちょっ…、騒がないでよー、」
わたしは恥ずかしくて、達志に気づかれたらと思うと、居心地が悪いのに、理美はおかまいなしに話を続ける。
「絶対好きだと思ってたんだぁー。
唯にだけ優しいし!」
「そ、んなことないよー…。」
わたしは恥ずかしくって、達志のいる方向を見ることができなかった。
授業もソワソワして手につかないし、あっというまに放課後となった。
いつも通り帰ろうと席を立つと、くるりとこちらを向いて、理美が言った。
「唯は達志くんと帰りなよね!」
「えっ
そんな…!さとっ」
「前田。」
うろたえているところに、声がかかった。
「た、達志くん…。」
顔が真っ赤になる。
理美は既にいなくなっている。
「一緒に帰ろーぜ。」
達志にもわたしの照れが伝染してしまったのか、顔が赤くなっていた。
達志と並んで歩いて、胸がはちきれそうになる。
みんなこんなにドキドキしてるかな。
それともわたしだけかな。