完全に劣勢のがしゃどくろ。だがそれが出す恨みの叫びは、重く、彼らを圧しつけた。
耳をふさぎ、声の重圧に負けて多くの妖怪が地に伏せる。
天野も、洋子も、烏丸も、立っているのがやっとの状態だ。

がしゃどくろは音を立てて、体中の骨を寄せ集める。
恨みを倍増させ、その体はまた一段と大きくなっている。

「呪ってやる……恨んでやる……殺してやる……壊してやる……」

恨みの言葉ががしゃどくろから紡がれる。
やはり、がしゃどくろは化け物。敵うわけがない。
誰もがそう思う。誰もががしゃどくろを恐れた。

「コロスコロスコロスコロスコロスコロス」

もはや誰の声も耳に入らない。もはや誰も、がしゃどくろを止められない。
この場にいる誰も、がしゃどくろには叶わない。百鬼がまとめてかかっても、敵わない。
恨みが多ければ多いほど、恨めば恨むほど、がしゃどくろは怖い。

怖い。ただ、怖い。
妖怪が妖怪を恐れる。妖怪同士の争いは、恐れたら、負けだ。

「うっ……あっ……」

泣くことも許さない恐怖。がしゃどくろがゆらりゆらりと近づく。


「コロシテヤル……」