「だって無理でしょ～。俺、天邪鬼だよ？　子鬼だよ？　こんな化け物相手に……自殺行為でしょ。死んじゃう死んじゃう」

そう言いながら、天野はどんどんがしゃどくろを解体していく。
想像以上に天野はがしゃどくろを追い詰めていた。がしゃどくろはほぼ無抵抗のまま潰されていく。

「じゃあ、私もいっちょ行きますかっ！」

洋子から、狐の尾が現れた。彼女の周囲に小さな小さな狐が集まってゆく。
その一匹一匹が管狐。みなそれぞれ一つずつ神通力を持つ。

「一の子、行っちゃえ！」

尾が一つの狐ががしゃどくろにむかう。その姿は青炎が包み込んでいた。
骨まで溶かす業火ががしゃどくろの体をじりじりと蝕んでいく。

「二の子もよろしくどーぞ！」

尾が二つの狐が鳴いた。その鳴き声はかまいたちとなって周囲を切り裂く。
がしゃどくろの骨までもがスパスパ切れてゆく。

「じゃ、カラス先生バトンタッチです」

そこからさらに烏丸が前に出る。
烏天狗は、狐よりもさらに上をいく神通力をもつ。天候を操る力を持つ。

「じゃあ、漆黒の雷」

空を指す。見る見るうちに、空に暗雲が立ち込める。
稲光、轟音。そして、激しい衝撃とともに、稲妻ががしゃどくろを貫いた。


「ア゛ァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアァァアアアアアアアアッ！」

耳をふさぐほどの悲痛な叫び。
がしゃどくろの恨みのこもった悲鳴があたりを包み込んだ。