「桐風、さっさとこの女、店へ連れて行き」

「御意」

早速秀明は式神を呼び出した。現れたのは、金髪に黒い口布をした青年。秀明の命令を受けて、白峰を抱え、風が吹くと同時に、消えて行った。

「優しいことだねぇ。尚更、あの女を殺したくなる」

「女の嫉妬かえ? 醜いことやのう。……やけんど、あんたの思うてることとは違うで」

白峰を安全な場所へ、危険な目に会わせないために運んだのだと思い、骨女は嫉妬心をあらわにするが、それを秀明は冷笑した。

「あんた、山姥の傘下のもんやろう? だったら手加減はせんからな。……ウチの本気を見られたくないだけや」

あくまでもにこやかに秀明は笑った。その笑顔だけで、骨女は一度だけ恐れた。背筋が凍るほどの、何か嫌な物を感じた。

「……ウチ、鬼は嫌いや」

「――――ッ!」