彼は、あたしをお姫様みたいに大事にした。こんなに大事にされたことは、ないだろうというほどに。

とてもマメな人だった。そのマメ差をあたしにも求めた。朝から電話。昼にはあたしから電話をする。学校の公衆電話から。まだ携帯のない時代。学校から帰ると電話がくる。店が終わると電話がくる。

そのうちあたしは、窮屈になった。

今思えば、ありがたい話し。どんだけ大事にされていたのか…大人な今ならわかる。でも、その時のあたしにはわからなかった。彼の優しさが疎ましくさえ思うような、子供だった。

彼は、あたしから孤独を遠ざけてくれていたのに…。