「でさ、俊輔」
「んだよ?」
不貞腐れた俺はひたすらささくれをいじっていた。
「千尋にむやみに手ぇ出すなよ」
「はあ?!
なんで!なんでだよ!
お前、どーせひろにフラれたんだろ?
そんな前にんなこと言われたくねーよ!」
「待てよ!
なんで俺、フラれたことになってんだよ!」
「プライドが高いひろがフラれるはずねーからだよ!
で、どうなんだ?実際!」
そう聞くと健は悔しそうに唇を噛んだ。
なんだ。
やっぱりフラれたんじゃねーかよ。
「んなこと、どうだっていいだろ。
とにかく!千尋は俺のだからな!」
なんつー独占欲だ、おい。
「なあ、いいこと教えてやろーか?」
「なんだよ?いいことって」
「ひろ、元サヤには戻んねーぞ、絶対。
アイツ、そういう女っぽい感じ大ッキライだからな」
俺は鼻で健を笑い飛ばした。