我慢出来ずに、抱き合ったまま寝室へ行った。

彼は優しかった。
目がすごくエロティックで困った。

ベッドで煙草を吸いながら彼は何度も可愛いと言った。
二人でまたコーヒーを飲んだ。
私が服を着てしまうとちょっと残念そうな顔をした。

彼の身体はよく日に焼けていていい匂いがした。
42歳とは思えないくらい引き締まっていた。
ゴルフをしてるからだろうか。
たくましい腕に抱かれていると安心してしまう。

このままずっと一緒にいられたらなんてつい思ってしまった。

「タクシー呼ぶね」

そう言って寝室から出た。
現実を見なきゃならない。

もう天国には行けないかもな。

タクシーはすぐ来た。
彼は玄関で私を抱き締めて軽くキスした。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

またねって言えなかった。
鍵を掛けたとたんに涙が出た。
マグカップとまだ沢山残っているコーヒーが切なくさせた。
それを片付けながら泣いた。

突然20歳も年下の女に誘われてびっくりしたかな。
私もびっくりしたけど。

ラッキーって思ったかな。
軽い女だって思ったかもしれない。

それでいい。

そんな女もいたなっていつか思い出してくれれば。

ちょっと頑張って良かった。

自分に正直になれたのは久しぶりだ。

余計に悲しくなったかもしれないけど。


でも、後悔してない。