康介は、黙々と描き進めていく。
話していたときと、目の色が豹変した。
あたしを瞳で確かめて、スケッチブックに鉛筆がスラスラ泳ぐ。


視線に殺されそうになる経験なんて数え切れないくらいした。

通り過ぎただけで指を刺されるし、学校でもヒソヒソ話のネタはいつもあたしの火傷だった。

そのたびに、蒸発してしまいたくなった。



だけど康介の視線は違う。


心の奥を視線でかき乱されているような

そんな感じ。


その濁りない視界にあたしを閉じこめてよ。


ガラス玉の奥に、あたしを隠して。