「君、絵のモデルやってくれない?」
太陽みたいなキラキラした笑顔で男は言った。
あたしの目をまっすぐに見て。
「はい?」
「俺、美大に通う多摩 康介っていうんだけど今課題のモデルを探してたんだ!もう五日も探し歩いてんだよ!頼む!引き受けてください!」
目の前で両手を合わせて懇願する。
しまいには「このとーり!」と正座までしだした。
躊躇するあたし。
もともと人とのスキンシップを避けてきたので、こんなときどうすればいいのかわからない。
だけどあたしが迷っているうちに多摩康介の行動はエスカレートしていく。
しまいには土下座だ。
あたしは自分の前で何度も頭を下げる男をみて動揺してしまい、とっさに承諾してしまった。
多摩康介は一瞬にして涙目から輝く笑顔に変わった。
そして善は急げとあたしを自分の自宅へ拉致した。