「でも、春からは違う高校だから菜緒を後ろに乗せて一緒に登校することできないんだなぁ」

「何いってんの。高校は茜ちゃんと一緒じゃない」

あたしは亮平の左手の薬指に光っている指輪をみた。

指輪は太陽に反射して煌めきを放っている。
その眩しさに思わず目を細めた。


「うるせーよ!」


ねぇ今、照れたように顔を赤くしているんでしょう?

後ろからでもわかるんだよ?




「……高校は茜ちゃんと一緒にいくの?」

「ま、まぁな」


春からは亮平の後ろにいるのは、あたしじゃない。

こんなふうに広い背中を掴むのも、あたしじゃない。

13年間も一緒にいたのに、あたしと亮平が手を繋いで歩くことはなかった。