篤也「小嶋。」




篤也はそうささやくと、
震えている小嶋の手をつかみ、
握りしめました。




篤也「小嶋。たしかにおまえには、いやなところがたくさんあって、敵がたくさんいるかもしれない。」



小嶋「ウ゛ッ!」



牧野「あーちゃん、意外ときつい。」





篤也「でもね、ほんの少しのおまえのいいところ、わかってる人がいるってことを忘れないで。」



小嶋「…。あーちゃん?」



篤也「おれや、牧野はちゃんとおまえのいいところわかってるよ。小嶋は優しい!」



牧野「足が臭いよ。」



小嶋「牧野テメエ!やる気あんのか!」



篤也「おれたちは、小嶋のともだちだからね。」



牧野「…友達。」




牧野は微笑み、
篤也は小嶋の手を
いっそう強く握りしめました。




小嶋「……。二人とも、ありがとう。」




小嶋がうつむきながら言ったその言葉に、
篤也はにっこり笑いました。




小嶋の手を握る篤也の手。

それはそれは

暖かく、優しく、
強くあったのでした。