牧野は首をかしげました。


『何故あーちゃんはそんなことを言ったのだろう。

俺は確かに
小嶋が嫌いだ
と言ったのに。

コイツも同じか。

俺のこと、何もわかってくれない…。』




牧野がそう思い、
うつむいたそのとき。




篤也「牧野はいい奴だね。」




篤也はにっこり笑って、言いました。




牧野「…は?」



篤也「だってさ、小嶋のことよくわかってるじゃない。わかってなきゃ、悪口って言えないよ。相手の悪いところをすみずみまでわかってる。だから、牧野はいい奴なの!」



牧野「…。」



篤也「ねっ?」




篤也は首をかしげました。



牧野は篤也の笑顔とその仕草に
照れくさくなって、
黙ってうつむいてしまいました。




『俺、何言ってたんだろう。

違った、違った。
違ったじゃないか。

コイツは、優しい。

コイツなら俺のこと、
わかってくれそうじゃないか。』



牧野「そうだな。俺、小嶋好きだ。」


牧野は前髪をかきあげ、
顔を上げて、にっこり笑いました。