義男「本当は、立派な女の子に育ててやりたかった。だが、おぬしを護るためには、これしかなかったのじゃ…」



篤也「…え?」



義男「今こそ話す時じゃ。西園寺組総長さん、少しばかり年寄りの話を聞いてくれるかの?」



華織「もちろんです。つづけて。」



義男「ふむ。次期総長候補だった、篤也の母である由紀子は、出産と共に死んだ。」



篤也「知ってるよ」



義男「そこまでは話した。だが、父親の話はしたかの?」



篤也「…詳しくは知らない。ただ、女のおれを総長にするのを嫌がったって。」



義男「そうじゃ。なら、何故おぬしは父親の顔を知らない?」



篤也「…何があったの?」



義男「篤也の父親は、金にしか興味の無い、ひどい奴じゃった。」


篤也「……え。」



義男「わしは、篤也を奴の手に預けることが嫌だった。だから、吉田組で篤也を育てる、と決めたのじゃ。」