今日から,この施設か…。

私は七瀬麻子。

私には親がいないんだ。
お母さんは物心ついたころから,いなかった。

お父さんは会社が倒産して自殺したっけ?

だから私は施設を転々としてるの。

まるで転校生みたいでしょ?

でも友達はいない。

だれも信じれなくなってた。
だって信じてもいなくなってしまうもん。

ならばひとりでいたほうがいい。

今日も先生は,
うざいんだろうな。

紹介なんて,
いらんっつーの。

でもなんだろう?
今日はなんか違う。

あ,先生だ。

「あなたが七瀬麻子ちゃん?」

「はい。」

「かわいいね♪」

みんなそういう。
正直まぢうざい。

「私,吉田真美です!」

「はい…。」

別にいらないし。
そんな自己紹介。
どうせ少しの間だし。

「じゃあ,中入ろっか♪」

なんだろ?
このテンション。



ガラガラ…。



「みんな,新しい友達だよ!」

吉田さんが,
顔で自己紹介しろって言ってる。

はいはい。
しますよ。

「七瀬麻子です…。」

沈黙…。


『いい名前だな!!』

誰???

私があたふたしてると…??


『俺,坂倉俊明。よろしくな!』

私は軽く頭を下げた。
なんだ??
このひと…。



これがとしとの出会いだった。