家に戻ると憔悴した和幸が待っていた。
「…ただいま」
ゆかりが言い終わる前に「みみは渡さないから!!」と園実が自分の部屋に駆け込み、鍵をかけた。
それを見届けてからゆかりが話出す。

「この能力は世間に出したくないの。園実が実験体にされることになるのよ。あなたそれでもいいの?」
和幸は吸っていた煙草を消した。
「…いや、お前はいつから知ってたんだ?園実のあの能力」
「私の遺伝なの。気付いたのは4歳の時よ」
和幸は驚いて顔をあげる。
「遺伝?」
「私も母からの遺伝なの」
「なっ…どうして黙ってたんだ!?」
「絶対に言うなって言われてたし、嫌われたくなくて…」
「そんな…」
そしてハッとした。
「お前時間無いって言ってたな?朝死んだって…俺みみの事に驚いて聞き流したけど…」
「園実なのよ…朝倒れたの覚えてる?」
「いや…」
「あなた息もしてないし、心臓も動いてなくて…そしたら園実が…」
「生き返らせたって言うのか?でも時間が無いてのは?」
しばしの間があく。ゆかりは大きく息を吐いた。
「数日しか持たない」
「持たないって死ぬってことか?」
「うん」
呆然としながら和幸は煙草に火をつけた。
ゆかりは泣き出し重い空気が流れる。


その時玄関のチャイムが鳴った。